- ご相談者
- 東京都 A様(55歳 男性)
- 家族構成
- 妻・子供1人
- ローン残債
- 2,500万円
- 売却時価
- 1,000万円
相談内容・相談者の状況
バブル後に住宅金融公庫(現:住宅金融支援機構)のゆとりローンに飛びつきました。当時は給与が上昇してくであろう、雇用は一生保証されるであろう、不動産は買ったら上がっていくであろうという常識から当初5年は家賃並みのローンが組めるということで迷いはありませんでした。
ところが、この不景気で収入は減少、このままではローンが支払えなくなると思い、転職を考え当時の会社を辞めましたが、なかなか転職先が見つからずやむを得ずアルバイト収入で生活をつないでいます。住宅ローンは3ヶ月滞納中です。
売却を考え地元の不動産屋さんに相談したところ、1,000万円でしか売れないから残債が2,500万円あるのであれば、現金一括で差額分の1,500万円を用意しないと売却は不可能と言われました。
毎月のローンも支払えないのに、1,500万円なんて支払えません。もう競売しかないのでしょうか?
現況について
- 毎月の返済額:148,000円
- 毎月の収入:180,000円 (内訳 夫150,000円+妻30,000円)
このような事例の注意点
日本版サブプライムローンといわれている「ゆとりローン」 平成4年にマイホームの夢がかなうローンとして脚光を浴びました。当初5年間は非常に少ない返済額に設定されていて、「家賃と同じくらいの返済額で家が買えます」という謳い文句でした。ただし、6年目と11年目に返済金額が一気に増えます。条件にもよりますが6年目にはおよそ1.6倍になるケースも珍しくありません。
給与が勤務年数に比例して上がっていくことを前提として成り立った仕組みです。その仕組みがまったく成り立っていない現在、借りた人たちは返済ができなくなるのは当然のことではないでしょうか?
当時は「国家ぐるみの詐欺では?」とも報道され、社会問題にも発展し、平成12年4月にはゆとりローンは廃止になりました。しかし借りた人たちの返済は現在も続いており、それにより苦しんでいる方が大勢いらっしゃいます。
解決方法
相談者様の収入を考えると、生活すること自体が厳しい状況です。地元業者さんは任意売却というやり方があることを知らなかったがためにAさんに売却不可能だと言ってしまいましたが、債務超過でも任意売却というやり方で可能です。
私たちは相談者様のご自宅を任意売却により1,090万円で売却いたしました。さらに、引越代の捻出さえも厳しい状況だったので、購入者と交渉して多少の引越費用を得ることもでき無事引っ越ししました。当初は、お子様も同居する予定でしたが、独立したいとのことで、寮のあるお仕事場をご自身で探し、そちらに転居しました。
残債については、小額の分担返済をして、まずは家族の生活の立て直しを図っています。
本事例はご相談者様の許可を得て掲載しておりますが、相談者様を特定される恐れのある内容は差替えさせていただいております。